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防災インタビュー 第2回 MODECO 代表 水野浩行さん
防災インタビュー 第2回 MODECO 代表 水野浩行さん

プロフィール

「MODECO」 代表
有限会社槌屋 水野浩行さん

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今回は名古屋大須の新しいスポットでもあり、今や世界に進出しているファッションプロダクトブランド「MODECO」の代表、水野浩行さんです。なんと水野さんは、2004年の新潟県中越地震の体験者でもありました。防災の意識が高まった、大きな体験だったそうです。

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水野さん、今日は宜しくお願いします。
水野さん
宜しくお願いします。
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まず最初に水野さん、非常食を備蓄していますか!?
水野さん
はい、していますよ。
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おぉ~、意外。あ、失礼しました。日頃から意識をしていらっしゃるんですか?
水野さん
というよりは、今は実家で暮らしているんですが、実家に備蓄がある、という感じですね。
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なるほど。元々ご家庭内の防災の意識が高いということなんですね。水野さんもそういう教育を受けてこられたんですか?
水野さん
いや、僕自身はまったくと言っていいほど意識して生活はしていなかったんです。ただ、僕の父がおじいさんを火事で亡くしていて、父からは戸締まりや火の始末なんかは昔から口うるさく言われましたね。
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そうだったんですね。辛いご経験が日頃の防災に繋がっているんですね。

防災インタビュー 第2回 MODECO 代表 水野浩行さん

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先ほどご自身は防災の意識が高くない、ということでしたが、今はどうですか?
水野さん
実は以前、バイクで日本一周をしていたことがあったんですが、その年に新潟県中越地震があったんですね。その時にちょうど新潟にいまして。まさにそこで被災したんです。
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え?あの時に新潟にいたんですか?
水野さん
はい、その当日にいました。非常に大きな揺れで、僕もどうなるんだろうと不安になりました。幸い道路はそれほどデコボコになったり分断されていなかったので移動はできましたから、翌日には普通に旅を続ける事が出来ました。
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それは不幸中の幸いというかなんというか。特に怪我もなく無事だったんですか?
水野さん
そうですね。ただ本当に色々と経験しました。僕も一応避難所に行ったんですが、やはり食べ物がない。だからバイクがあったので、近くのコンビニに行き、お弁当を買ってきてみんなでわけあって食べたりしました。ところが夜になると、その避難所が住民で一杯ということで、住民ではない僕はそこには泊まれない、ということになったんです。なのでバイクで少し離れた道の駅に移動し、そこで野宿をしました。
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なるほど。それは本当に行政としても対処は難しい所ですよね。
水野さん
そうなんです。実際僕が住民だったら、行政としての対応は住民優先にして欲しいと思ったはずです。僕はそのときはバックパッカーとして日本一周をしていたので、特に野宿に抵抗はありませんでしたが、そうではない旅行者やビジネスマンもきっといたと思います。おそらくつらい夜を過ごされたのではないでしょうか?
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旅行先や移動先で被災する、という発想は今までしたことがありませんでした。新たな視点をありがとうございます!
水野さん
いえいえ。やはりそれ以降は家にシュラフやランタンを置いておくようになったり、防災の意識が高まったのは事実ですね。

防災インタビュー 第2回 MODECO 代表 水野浩行さん

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その後2008年にMODECOを立ち上げられて、そして2011年3月11日に東日本大震災が起こりました。MODECOとしては当時はどんなことを感じて、どんなアクションを起こされたんですか?
水野さん
あの日はスタッフと一緒にショップにいたんですが、あの気持ちの悪い長くて大きな揺れは忘れられません。情報もテレビやインターネット上のtwitterなどで、もの凄い量の情報がどどっと流れてきましたよね。その時にすぐ決めたのは「今は何もしない」ということでした。
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今は何もしない、というのは非常に強い意志を感じる言葉ですが、詳しく言うとどういうことだったんですか?
水野さん
一言で言えば、「プロじゃない自分たちが、正確な情報が無い中で動いてはいけない」という意識が働いたんです。実際僕はたった1日ですが、新潟で発災直後を経験しましたが、本当に情報が錯綜していました。そんな中、正確な情報も得られない、発信も出来ない状態で現地に行っても役に立てないと思ったんです。
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なるほど。本当にその通りですね。実際の被災体験がそこで活きたわけですね。
水野さん
はい。2次情報で動くことに非常にリスクを感じました。そしてもう1点。MODECOとして何かアクションを起こすのであれば、細くてもいいから長く続けたいと思ったんですね。それが余計に正確な情報を得てから行動した要因になったかもしれません。それが1ヶ月後でも半年後でも1年後でもいいと思いました。それだけ本当に役に立つアクションにしたいと思ったんです。
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インターネットで気軽に情報を得られる反面、情報を性格に汲み取る技術が求められますよね。それで助かった命もあるし、的外れな支援をしてしまった方々もいる。本当に難しい問題です。
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そんな発災直後でしたが、2011年の年末からはじまったプロジェクトがあるとお聞きしたんですが、どんなものなんでしょうか?

防災インタビュー 第2回 MODECO 代表 水野浩行さん

水野さん
ECHO PROJECThttp://www.modeco-brand.com/echo/)といいます。でもこれは、実は震災前から企画していたもので、MODECOの商品をご購入頂いたお客さまが任意の団体に500円のワンコイン寄付ができるプロジェクトです。元々寄付先に関してはMODECOと関わりの近い団体をイメージしていたんですが、このプロジェクトをスタートさせる前に震災が起きましたので、被災地支援をしている団体を加えたものとなったんです。
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なるほど。MODECOのバッグを買うとついてくるハガキに、寄付したい団体を3つの中から選んで投函すると、MODECOが500円を寄付してくれる、というシステムなんですね。
水野さん
はい、その通りです。本当は一つに絞りたかったんですが、課題の特徴があまりにも違いすぎて選べなかったんです。この3つの寄付先も自分たちが直接団体の代表の方たちとやりとりをして決めました。活動していらっしゃる団体は沢山あると思うんですが、MODECOとご縁のあった団体を選ばせて頂きました。
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そうなんですね。お寺のボランティアセンターに震災孤児への支援、そして加子母の森林組合。震災関係もあるし、間伐関連もありと支援団体の目的が幅広いのはそういった理由だったんですね。活動から1年以上立ちましたが、今感じることは何かありますか?
水野さん
先日ちょうど1年たったタイミングで、支援先に連絡をして現状をお聞きしました。まだまだ復興は全然進んでいないと教えて頂いたんですね。しかしMODECOとしては、最初から息の長い支援を意識してスタートしましたので、すぐには変わらなくてもこれからも小さい支援ですが続けていきたいと思っています。
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貴重なお話し、ありがとうございました!最後になりますが、非常食定期宅配サービスのyamoryに、一言応援メッセージをお願いします!
水野さん
防災というのは、予防する、ということ。ある意味本当に知的な大人の選択だと思うんですね。人は中々予防をする、という行動は出来ませんから。その意識を変えなくてはいけない訳ですから大変だと思います。MODECOも世の中ではゴミと言われて捨てられていく素材を使用していますが、本来はそういったゴミが出ないような仕組みを目指すべきだと思っています。ただそれは中々簡単なことではないですよね。 事が起こる前に対処すること。この部分ではyamoryさんとある意味同じ課題に取り組んでいます。防災が当たり前のことになるように、一緒に頑張っていきたいですね!
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ぜひMODECOでかっこいい防災カバンを作って下さいね!約束ですよ!!今日はありがとうございました。
水野さん
はい、頑張ります(笑)ありがとうございました。

ご自身が被災した経験があること。そして廃材を「アップサイクル(価値を上げて還元すること)」してかっこいいカバンにして販売するという社会的な要素の強いお仕事をされていることなどもあり、非常に奥の深いお話しを聞かせて頂きました。いつの日かMODECO × yamoryのかっこいい防災バッグが出来上がる日をyamoryスタッフ一同、楽しみにしています!水野さん、有り難うございました。